11.
ぶらんこに乗って手を振ったあと つながれおすわりしている犬と
まだ耳に残る声を聞いてる [H24.1.29]
12.
遠くに遮断機聞こえる 遠く山に並ぶ線路 久しぶりに鳥のさえずり盗み聞いてみよう [H24.2.12]
13.
外は雪 陶器の下駄持ち 見知らぬ土地で チョコ饅頭を16ください [H24.2.18]
14.
夜長く 閉められたバスの休憩所 外灯に舞う 雪の白さよ [H24.2.18]
15.
手を握られ 冷え症には根菜類と穀物と なにでも生姜と別れ際 [H24.3.11]
16.
コーヒーうまい コーヒーがうまい 素朴と共にパン半分 [H24.3.18]
18.
「ワンタッチ」と背中をたたいて走ってく さびしくて 素直で かわいい子 [H24.4.13]
19.
春の陽気の葉桜映る水飲みぐるぐる柴犬まわる [H24.4.14]
20.
空に立ち 鈴(りん)と重なる鶯(うぐいす)の声 身に染みて泣く 糸を繋げと [H24.4.29]
22.
何描(えが)こうかとポツポツ落ちる
柿の花掃き 朝日に臨む
母がちぎって手渡した レモンマリーゴールドの匂いと [H24.5.11]
24.
虫の声と 蛙の声と 見知らぬ親子と プラットホーム [H24.6.30]
(夜の 人の少ない小さな駅のプラットホームで)
25.
短い笹の先に揺れ かまえるイナゴ 天の川まで跳ぶ気かな [H24.7.2]
26.
雨に濡れ 垂れる木の葉に 寄り添いたいよな今日帰り道 [H24.7.3]
27.
木の葉から覗く日輪見れば あの人の笑顔かと思い 頬をかすめる黒アゲハ見れば あの人の 魂の 一羽かと思う [H24.8.25]
29.
門開けて 柿の葉のよく散りし朝 子どもの体力回復鮮明 [H24.10.8]
(郵便受けにきてた新聞の見出しに「子どもの体力回復鮮明」とあった)
30.
凛冽(りんれつ)たる早朝に 重く佇む(たたずむ)竹林 皆物言わず色を潜めて [H24.11.18]
31.
夕焼けに戻る向かい風受け 今日も一日幸福でした[H24.11.20]
33.
威厳の雲の間より 明日の青見る 過去の青見る [H24.12.9]
34.
崩れかけた空き家の庭に 紅梅だけは 色を忘れず[H25.2.23]
35.
朝まだき 地に浸みた雨 昨夜の師の言葉のように[H25.3.?]
36.
竹林まわり桜の木まわりひのきえのき 山山をまわる [H25.5.3]
37.
アヤメ葉先に露水晶の 母の日近くの朝であるかな [H25.5.6]
38.
暁の雨よ 言葉と重なり 私の喉に浸みわたり 殻を溶かし流しておくれ [H25.5.19]
39.
入道雲が影造り 民家の朝飯碗音涼し [H25.7.7]
40.
寺の縁にて雷鳴聞くや 滴る山を登り急ぐかな [H25.8.4]
41.
子規集読ミテ目覚マシニ 日傘草取リツクツクホウシ 秋ノ風 [H25.9.15]
42.
帰り道 お礼にもらった いちご飴 こんなにおいしい いちご飴 [H25.11.20]
43.
我行くなと言ふように 部屋に襖のはられし冬を [H25.11.30]
44.
竿に巻き 朝日向き待つ野菊見て ぼやく目先を覚まされるかな [H25.12.8]
(眠気さと同時に 自分の考え方まで 目を覚まされた気がした)